マクドナルドのハンバーガーを食する機会はよくありますが、最近の販売戦略は今までとちょっと違う様に感じます。売上を上げるポイントは客数と単価を上げる事ですが、そのために複雑なメニューより単純さやわかりやすさを前面にうちだして顧客と正面から向き合う会社の姿勢が見て取れます。

その一つが、サイドメニューやちょいマックメニューを生かすシステム構築。初めにレジでセット商品を注文する事はすでに浸透しましたが、人間の胃袋は人それぞれでセットメニューで満足する人がいれば物足りない人もいます。個人的にも、もう少し食べたいなと感じた事もありメニューと呼び出しベルがあればいいのにと思いつつ追加注文せず帰る事もありました。無料のコーヒーがあるときはレジに並んでお代わりをもらいに行きましたが、あえて追加注文でレジに並ぶ事はあまりしないのではないでしょうか。

このモバイルオーダーシステムはスマホでメニューを見て追加注文ができます。座ったテーブルに番号が割り振ってあり、スマホから注文をすればテーブルに店員さんが持ってきてくれます。メリットはそれだけでなく、お店に行く前に予め注文内容を決めておき席に着いてから席番号を登録してオーダーが出来ますので注文までの時短ができます。又「店内でお召し上がりですか」「お飲み物はいかがいたしますか」などのやり取りは必要なくなりますのでレジ店員さんの負担も軽減されます。レジ店員さんのスマイルが見れないのはちょっと残念ですが・・・。システムが漸く出来たのはお客様の声を反映しての事だと思いますが、スマホが浸透した事が大きくかかわっています。世の中にインターネットとモノとがつながるシステムが普及し、マクドナルドのシステムもIOTを外食産業に応用したかたちになっています。

てりやきバーガーはそもそも馴染まないと以前より思っていて、バンズを焼いたビッグマックはNO.1だと個人的感想を持っています。人気投票があれば必ず一票入れるのは間違いないです。マクドナルドでは当然何が売れ筋かは統計データで分かっているはずですが、この度のビッグマックのミニ、メガを出したところを見ると矢張り一番売れている商品に間違いはなく直球勝負に出てきたものと思われます。人気の商品を個々人の胃袋に合わせてチョイスできる優しいメニューを取り揃えたかたちなのです。

売上を伸ばすのに最も悩むのが客数です。マクドナルドでは結構長居をする光景が見られて、学生さんたちは勉強をするのに都合がよい空間になっています。サラリーマンもWi-Fiや電源が使えて長時間いてもスマホやパソコンの電池切れを心配する必要はありません。店員さんからも追い出されることもありません。充電が切れそうな時は兎に角マクドナルドへ行ってスマホの充電、コーヒーを飲みながらパソコンをパチパチするには最適場所になります。キッズスペースを設けているところもあり、子どもの遊び場としても都合がよく親もこの時だけはゆっくり過ごすことができます。これらの設備を整えたことで集客には先ず成功したと言えますが、回転率をいかに上げるかが課題になります。あちらを立ててもこちらは立たずと言ったところでしょうか。

回転率だけに知恵を絞っても立ち食いカウンターにでもしない限り上げることは不可能です。そこで逆転の発想で考え付いたのがモバイルオーダーシステム、つまり、長時間居座るお客様大歓迎戦略です。長時間いると小腹もすいてきますしドリンクでのどを潤したくなります。追加オーダーを座りながらスマホでピピっと送信すれば間もなくお気に入りのコーヒーや売り出し中のスイーツが運ばれてきます。回転率を客単価アップでカバー出来れば新たなマーケティングのお手本となるかもしれません。基本路線を変えず追加オーダーができてそれを運んできてくれるとは革新的なシステムを構築したといっても過言ではないでしょう。

客数の伸び悩みをただ指をくわえてみているだけではありません。客数アップ狙いで直球勝負に出たのが晩御飯にマクドナルドいかが戦略で、お米バーガーなるものが登場しました。日本人の晩御飯はお米の食習慣が定着しています。一部例外で関西ではお好み焼きやたこ焼きを晩御飯として食するのも当たり前という方もいたりします。しかし、圧倒的に一日のしめはお米という方がほとんどで、ましてや栄養バランスの五角形が魅力とはいえ晩御飯にケロッグと牛乳はありえないでしょう。外食産業界で晩御飯にお米バーガーが定着すれば、朝、昼、晩の3食を制覇することになり、ここにもマクドナルドの本気度が感じられます。今期最高益を更新しそうな業績予想が出ていますが、モバイルオーダーシステム、優しいメニュー、お米バーガーで来期も更新となるでしょうか。